不動のトップランナーとして声優アーティスト界を牽引し続ける水樹奈々が、歌手デビュー15周年を迎える。
その記念すべき年に、11枚目となるオリジナルアルバムをリリース。2014年~2015年のシングルはもちろん新曲も多数収録された全15曲の濃厚な1枚への想い、そして15年を振り返りながら音楽への取り組みについて話を聞いた。
Profile
2000年12月、シングル「想い」で歌手デビュー。アニメの声優、ナレーションなどを多数こなす一方で声優アーティストのトップを走り続ける。2016年1月24日に国立代々木第一体育館で恒例の座長公演『水樹奈々大いに唄う 四』を開催。「ライヴや声優としての活動とはまた一味違う演技や殺陣、演歌……座長水樹奈々を見ていただれば」と意欲満々。
水樹奈々(以下、水樹)「次の節目へ向けて新たな章の始まりになるアルバムということで、今回は挑戦を続けながらもシンプルに立ち返ろうと思いました。これまでは新しい要素を取り込み、盛っていくというか(笑)、詰め込んでいくスタイルが続いていたのですが、年初のアコースティックライヴを経験したことで自分の中で大きな変化があって。歌手活動15周年という節目で振り返ることも多くあり、ベーシックなものを大切にしたいと強く思うようになったんです。私の根底には演歌や歌謡曲があるので、それらと15年の経験値を重ね合わせれば面白いものができると感じて、それがオリジナリティにも繋がると思ったんです。“水樹奈々の楽曲=音数が詰まっていてド派手なもの”をイメージする方も多いと思うのですが、今作では今だからこそ表現できるシンプルだけどふくよかな音作りに取り組みました」
水樹「はい。15年目の幕開けとなるシングルだったので、新しい水樹奈々をみせられたらと考えていました。数あるデモテープの中からこの曲に出合った時、ストレートなサウンドに胸を撃ち抜かれて。作詞では、物語を膨らませ過ぎると言葉数が足りない。かといって膨らませないと情景が見えない印象の薄い詞になってしまうので、ちょうどいい塩梅を見つけるのが難しかったです。悩んでいたら18年振りのインフルエンザにかかってしまい、熱にうなされて病院に向かう途中でこの歌詞が浮かびました(笑)」
水樹「シンプルな楽曲ですが、それに合わせてストレートに歌うと綺麗なだけでメロディがスッと流れてしまうんです。この曲の持つ哀愁や“青さ”、それゆえの泥臭さを込めたいと思ったので、言葉1つ1つのニュアンスや音をどれくらい伸ばすかなど、繊細さが求められました。表情豊かになるよう、サビではあえて少しねちっこく繋げてレガートで歌ってみたり、逆にスタッカートにしたり、メリハリを大事にしました。ちなみにカラオケで歌う時は、A、Bメロはモノローグ的に吐息まじりに自分自身に語りかけるように、そしてサビで感情を爆発させて情熱的に歌うと楽曲の世界観が作りやすいと思います」
水樹「『戦姫絶唱シンフォギアGX』第3期のOP曲なのですが、実は作品のクライマックスで、戦闘曲としても登場する曲でもあって、制作するにあたり、ストーリーもキャラクターもどんどん熱くなっているので、それら全てを象徴するような楽曲にしなければと思いました。ただ、3期の脚本を読んだ時、主人公の立花響をはじめとするヒロインたちの苦悩にスポットが当たっていたので、とてつもない熱量を秘めながらも前2作のように速いテンポでたたみかけるスタイルとは違うアプローチにしたいと感じました。拳で戦う響の姿からインスパイアされ、真っ直ぐで重いパンチをドスンと繰り出すイメージでメロディを構成しています。また、(作曲家の)上松範康さんから『シンフォギア国歌のイメージで』と提案があったので、歌詞はできるだけストレートな言葉で書き、コール&レスポンスできる部分も作りました」
水樹「できるだけ比喩的表現を抑えて直球な表現を心がけました。ただ直球過ぎると幼い印象になってしまうので、そのバランスが難しかったです。実は、挿入歌として作った『Glorious Break』とは対になっていて、交響曲のようになっています。作品中では、シンフォニックで高らかに鳴り響く『Glorious Break』で敵を撃破し、『Exterminate』で最終的に救うという流れに。敵に立ち向かいつつも、キャラクターたちのそれぞれの闇を浄化し、温もりのある時間が訪れるという歌詞にしたかったので、対極にある感情をどうまとめていくかすごく悩みました」
水樹「劇中で自分の命を燃やして相手に立ち向かう絶唱と呼ばれるシーンでもアカペラのように歌うので、その光景を思い浮かべました。大気圏を突破して遥か宇宙にまで歌声が光の柱になって届くようなイメージです(笑)」
水樹「音域が広い曲なので、しっかりウォーミングアップして口元と喉の筋肉が柔らかくなってから歌うことをお勧めします(笑)。Aメロは低音で早口なので、言葉が流れてしまいがち。1つ1つ口を開けてはっきり歌うと音も明瞭になって、滑舌も良くなるし、リズムにも乗りやすくなります。ただ本当に歌うのが難しいのは挿入歌の『Glorious Break』のほうかもしれません!長いイントロから始まって、サビもドラマチックに高音域で攻めるので、私もこの曲のレコーディング後は腹筋が痛くなりました(笑)」
水樹「様々なタイプの楽曲に出合い、体力的にも技術的にもかなりしごかれました(笑)。でもそこで表現の仕方や曲との向き合い方を学んだからこそ、このアルバムが作れたと思います。数年前の私ならこの曲は選ばなかっただろうな、歌えなかったかもしれないなという曲もあります。時を重ねた分、精神面や技術など様々なことが頭で描く理想に追いついて、自分がやりたいこととできることがイコールになってきたような気がします。だから今、すごく楽しくて!そんな今が詰まったアルバムですので、末永く愛聴していただけたらとても嬉しいです」
アニメOP曲「Angel Blossom」「禁断のレジスタンス」などのヒット曲をはじめ、ジャズを前面に押し出した「アンビバレンス」など大人っぽいナンバーからダンスチューンまで多彩。
キングレコード
[11/11発売]楽曲タイトル | 歌詞 | マイうた |
---|---|---|
Glorious Break | ||
Exterminate | 歌詞 | マイうた |
Angel Blossom | 歌詞 | マイうた |
エデン | 歌詞 | マイうた |
禁断のレジスタンス | 歌詞 | マイうた |
BRACELET | ||
アンビバレンス |