来年デビュー10周年を迎える秦 基博。約3年振りとなるオリジナルアルバム『青の光景』には、今年のカラオケ定番曲となった「ひまわりの約束」をはじめ、CMソングやTV番組テーマソング、映画主題歌など数々のタイアップ曲も収録されている。“様々な青色”をテーマにした今作について、制作のきっかけや経緯、苦労、そして想いを彼の言葉で伝える――。
Profile
2006年11月にシングル「シンクロ」でメジャーデビュー。繊細さと力強さを併せ持つ“鋼と硝子でできた声”で日常の中の感情の機微を表現した楽曲群は、幅広い世代に支持されている。デビュー10周年を迎える来年、本作を引っ提げた全国ツアーが15都市で開催される。
秦 基博(以下、秦)「1つの曲を長い期間注目していただけていることは凄く嬉しいですよね。今までの僕の曲はカラオケであまり歌ってもらえている実感がなかったので(笑)、この曲をたくさんの方が歌ってくれていることに関しても率直に嬉しい気持ちです」
秦「ん~、理由がわかったら毎回そうしますけどね(笑)。ただ、この曲は映画『STAND BY ME ドラえもん』(2014年8月公開)の主題歌として作ったんですけど、映画を離れたところでも秦 基博としてずっと歌っていくことになるわけなので、自分の言葉として何が言えるかということを強く意識して書いたんです。結果的に結婚式や卒業式といった場面でも歌ってもらったり、使っていただけるようになって。ひとつの景色に限定されない聴き方をしてもらえるのは、作り手としては凄く嬉しい瞬間ではありますね」
秦「この曲を小さい子供が歌ってくれているのを見たりすると、上手い下手ってことよりも、真っすぐに大きな声で歌っているのが純粋でいいなぁって。『ひまわりの約束』には、そういう歌い方が合うんじゃないかなって思いますね。自分なりの対象や景色を思い浮かべながら、とにかく大きな声で真っすぐと。僕自身もそうやって歌ってます」
秦「今回は全曲で作詞作曲はもちろん、アレンジまで自分でやっているんですよ。そういう意味では新たなファーストアルバムというか、自分にとっての新たな一歩目になる作品なんじゃないかなって思います。楽曲制作へより踏み込んだことで、今まで以上に自分のサウンド感がリスナーの方にもしっかり伝わる作品になっている気もします」
秦「次のアルバムは“青”だなっていう、漠然とした色味のイメージが自分の中にあって。まぁ、音には色がないわけですけど、それをどうサウンドとして形にしていこうかなっていうのを考えつつ作っていきました」
秦「そうですね。空の色とか海の色っていう純粋なイメージの青もあるし、自分自身の中にある若さみたいなものを意味する青もある。色の濃淡もあるし、それこそ緑がかった青とか、赤みがかった青とかもありますよね。さらに青という色には物悲しさ、悲哀というイメージもあるじゃないですか。ブルーっていうと、それだけで悲しいっていう意味になったりするし。生きている中にはどこか悲哀みたいなものがあると僕は思っているので、それが今回、アルバム全体のイメージとして結びついたのかなって思いますね」
秦「ただ希望を歌うだけだと軽くなってしまう気がするので、ざっくり言うと“いろいろあるけど希望を持とう”っていうメッセージの、“いろいろある”ってところをちゃんと描くのが大事だと思うんです。それを表現する上では、そこで描く痛みが自分にとって本当にリアリティを持ったものなのかとか、借りてきたような言葉選びになっていないかとか、そういうところはどの曲でも凄く気にして書いています」
秦「世代の違う方々が僕の曲を聴いてどう思うかは自分ではわからないですけど、その方たちなりの景色や色、匂い……、そもそも音楽にはないはずのものを思い浮かべてくれたらいいなっていう思いはあって。そこに期待しているところはありますね。自分の作品はそういうものでありたいなと思っているので」
秦「表現したいことが大幅に変わったとは思わないですけど、よりはっきりしてきた感じはしますね。悲しみや痛み、楽しさなどの感情をより明確に、振り切って書くことができるようになったなって。もちろんあいまいであったほうがいい曲っていうのもあるとは思うんですけど、表現が明確になってきているのはいいことかなって自分では感じています。そういう意味で今回の作品はサウンド面まで含めて、今まで以上にどこを切っても秦 基博だと言えるものになりました。これがこの先のひとつの基準になっていくような気もしますね」
秦「まだ自分でもそんなに歌ってないのでアドバイスできるほどではないんですけど(笑)、今回のアルバム収録曲の中ではいちばん情景描写のある曲なんですよ。僕にとって実は、初めてのクリスマスソングだし。なので、季節を感じつつ、冬の景色を思い浮かべながら歌ってもらえたらいいかなって思います」
秦「え、そんなかっこいいことをしてる人って世の中にいるんですか(笑)?まぁでもそういうシーンに使ってもらえたら嬉しいですよね。上手くいかなかった時に僕のせいにされるのは困りますけど(笑)」
秦「ミュージシャンになりたいと思った時から、とにかくずっと音楽をやり続けることを目標にしているので、10年目を迎えられて嬉しいし、一方では“正”の字の一本目をようやく引けたかなって気もしていて。1つずつ曲を作り、ライヴをしてってという積み重ねでここまで来たので、これからもそこは変わらずにやっていきたいです。来年全国ツアーを周るので、それが終わった時にまた次の作品のことが見えたらいいなって思ってます」
◆衣装協力◆
コート:VADEL(AKM Showroom TEL03-5724-5687)、
パンツ:417 by エディフィス(417 by エディフィス 渋谷 TEL03-5456-6971)、その他スタイリスト私物
約3年振りに届いた5thアルバム。大ヒット曲「ひまわりの約束」(映画『STAND BY ME ドラえもん』主題歌)をはじめ、「水彩の月」(映画『あん』主題歌)、「Q & A」(映画『天空の蜂』主題歌)など7編のタイアップ曲を含む、全13曲が収録されている。
オーガスタレコード/アリオラジャパン
[12/16発売]楽曲タイトル | 歌詞 | マイうた |
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ひまわりの約束 | 歌詞 | マイうた |
Q & A | 歌詞 | マイうた |
ダイアローグ・モノローグ | 歌詞 | マイうた |
聖なる夜の贈り物 | 歌詞 | マイうた |
水彩の月 | 歌詞 | マイうた |