数々のアニメソングを手掛け、国内だけでなく海外でも人気を誇るangelaとfripSideが最強タッグを結成。TVシリーズ『亜人』第2クールオープニングの前期を“angela×fripSide”、後期を“fripSide×angela”としてリリース。まずは前期「僕は僕であって」を中心に、コラボが実現した経緯やこのプロジェクトへの想いを語ってもらった。
Profile
angela:メンバーはatsuko(Vo)とKATSU(G)。1993年結成、2003年デビュー。「蒼穹のファフナー」「K」などの人気アニメ主題歌を多数手掛ける他、国内外でのライヴを精力的に行う。来年3月4日に初の日本武道館公演を開催する。
fripSide:コンポーザーの八木沼悟志により2002年結成。2009年に声優として活動していた南條愛乃(Vo)が加入。「sister's noise」をはじめヒット曲多数。15周年を迎える来年3月1日にさいたまスーパーアリーナで特別公演を行う。
八木沼悟志(以下、八木沼)「これまでもフェスなどでは一緒になることは多かったんですが、男女2人組のアニソンユニットは少ないからシンパシーはずっと感じてました」
atsuko「勝手に愛情を感じていた私は、ライヴで悪乗りして『fripSideです!』と名乗ってたりしてて(笑)」
南條愛乃(以下、南條)「知ってます。私たちの名前を広めていただき、ありがたいなと思ってました(笑)」
KATSU「宣伝を買って出たというより、人気者に便乗させてもらってたんですけどね(笑)」
atsuko「もちろん本心からも『コラボしたいな』とずっと思っていました。昨秋のミーティングで『誰とコラボしたい?』って聞かれて、名前をあげさせてもらいました」
八木沼「それがうちのプロデューサーの耳に届いて『やってみない?』と。絶対に楽しいし、ファンも喜んでくれるだろうから是非実現させようってことになりました」
atsuko「監督さんからは、血がたぎるような心音が感じられる音、生き返ったという感覚、ザラザラしたイメージなど、抽象的なワードをいただきました。angelaとしていかに『亜人』の世界観を構築するか腐心しましたし、そこに今回はsatさん(八木沼)がアレンジで参加してくださったことで『僕は僕であって』という新しい扉が開いたという感覚です」
KATSU「僕にとって、2009年にfripSideさんが出したシングル『only my railgun』はすごく衝撃的で、その気持ちは今も変わりません。なのでfripSideの魅力を発揮してもらえるよう、satさんがフレーズを入れる余地を残してデモ音源を作りました。返ってきた音を聴いた時、『来たっ!』ってガッツポーズしたくなりましたよ」
八木沼「デモを受け取った時、ここで僕に入れてほしいんだろうなとすごく伝わったし、ナイスパスが来たなと思ったのですんなりとアレンジに溶け込めました」
atsuko「KATSUさんと20年以上一緒にやってきましたが、今回の音を聴いた時にangelaでありながらもKATSUさんからは出てこないフレーズが確実に入っていると感じて、すごく嬉しかったんですね。2人だけでやっていたら気付けない、どんなに開けても開かない引き出しが開いたような感じがしました」
南條「fripSideとしてもそれは同じです。レコーディング直前に音を聴かせてもらったんですが、fripSideらしさも滲んでいるけど私たちだけで活動していたら出合えない楽曲だなと感じて、『これがコラボなんだ。すげぇー!』って自宅で1人で叫びました(笑)」
atsuko「歌い分けを想定しつつ、歌詞は物語として1本筋を通して書きました。このコラボの大きな魅力の1つは、南條さんと私の声が聞き分けやすいこと。どっちが歌っているかすぐに判別できるのでコラボ感がより高まるんです。CDのブックレットやカラオケの画面では色分けで表示されるので、そこもファンの方には楽しんでもらえるポイントかなと思います」
南條「fripSideの強い楽曲とはまた違うベクトルの熱さを感じたので、歌い手としてチャレンジさせてもらえる曲だなと思いました。atsukoさんが熱さや“動”を表現しているとしたら、私はクールさや“静”を表現したらより奥行きが生まれるんじゃないかなと。それらがうまくはまったんじゃないかなと思います」
atsuko「南ちゃん(南條)は“静”を演じつつ、一方で吐き捨てるように歌っているところもあって、私的には『レアだなぁ』と嬉々としながら聴いてました」
八木沼「確かに僕らの楽曲で“お前は誰だ!”って吐き捨てるように歌うことはないだろうね(笑)」
KATSU「そこはやっぱり『亜人』の持つ世界観が大前提だからこそ書けた歌詞なんだと思う。ただ、“お前は誰だ”は初めは違う言葉だったよね」
atsuko「何度も書き直してやっとたどり着いた言葉でした」
KATSU「苦労して書いていたことも知ってるし、凄く『亜人』にも合ってる。けど僕的には、atsukoがライヴでfripSideさんに“成りすまし”てるのを知ってるから、その張本人が『お前は誰だ』って歌うのが笑える(笑)。PVの最後に南ちゃんとatsukoが向き合って『お前は誰だ』って歌ってる姿は最高に面白かった(笑)」
八木沼・南條「そんなトラップが仕掛けられてたなんて!」
KATSU「僕もsatさんも叫んでます。ライヴを想定するとコール&レスポンスできる部分がほしいなと思ったので入れました。監督がちょうどスタジオに見学に来ていたので『ファイトって叫んでくれませんか』とお願いしたら、一番大きな声で叫んでくれました(笑)」
八木沼「はい。僕らもangelaの2人もそれぞれ背負ってきた音楽性がとても強いんですよ。それらを喧嘩させてもいい結果にならないと経験上知ってるから、互いの良さを最大限に引き出せる場所を探求しました」
南條「12月にはfripSide×angela名義で、後期オープニングテーマ『The end of escape』もリリースされます。こちらはfripSide成分が多めのところにangelaさんが入ることでまた新しいものが作れたと感じます。いずれの曲もどちらが先頭に立って作ったのか個性もちゃんとわかる曲で、両者の配分が絶妙だなって感心します」
atsuko「大人になった今、コラボできたのが良かったんでしょうね。もしデビュー直後や10年前だったら、もっと『俺が、俺が』って自我が強く出て衝突してたかも(笑)」
南條「せっかくなので2人で歌ってほしいです。カラオケの字幕も色分けされるそうですし、『今日は俺がatsukoさん役を歌う』って、役割を変えるのも楽しそう。歌詞は迫り来るものがあるし切羽詰まった感じをビシビシと感じながら私も歌ったので、ギリギリのところを感じながら歌うといいのかなと思います。必死な気持ち、切実に頑張りたいことを思い浮かべながら歌うといいかもしれません」
atsuko「テンポが速く言葉もぎゅっと詰まっているので、大前提として歌詞とメロディラインを覚えることが大事かなと思います。何度も歌って慣れることが何よりの上達法だと思うし、私も未だに必死に歌っているんですがその必死感がこの曲には合ってるのかなと」
KATSU「構成としては1人でも歌えるように作ってあるんです。ただ、1人だと息継ぎするのが大変かもしれない。1番の出だしはatsukoで2番は南ちゃんといった歌の割り振りが逆転するなどの法則もあるので、2人で歌う際はそんなところにも着目するといいかもしれないね」
atsuko「とはいえ法則通りじゃないところもあるので、油断できない。歌の割り振りが細かい部分もあるので、デュエットするなら相手の歌声をちゃんと聴かないと自分もうまく入れないので、互いの歌声にも耳を傾けてください」
人気アニメ『亜人』TVシリーズの第2クール前期のオープニングテーマソング。作詞を手がけたatsukoは「主人公の永井圭は合理的で冷淡さがあり、普通のヒーローとは違うので歌詞を書くのがとても難しかった」という。「前期は主人公が様々なものから逃れようとあがく。その様や心情をサウンドや歌詞で表現しました」(KATSU)と語る様に、緊張感のあるスピーディーなサウンドに乗せて、atsukoと南條の歌声が交錯するスリリングな楽曲に仕上がっている。12月には第2クール後期テーマソング「The end of escape」がリリースされる。
キングレコード
[10/19発売]楽曲タイトル | 歌詞 | マイうた |
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僕は僕であって | 歌詞 | マイうた |