『愛が信じられないなら』からちょうど1年、ひとつの恋が終わった心情を巧みに綴る新曲『さらせ冬の嵐』が到着。7年前、『冬枯れのヴィオラ』(2011年)で初タッグを組んだ松井五郎が詩を書いたドラマチックな作品だ。毎回、歌詞を手帳に書き写してから歌うという山内惠介が、新曲への想い、歌への向き合い方について語った。
Profile
2001年『霧情』でデビュー。2015年に『NHK紅白歌合戦』に初出場し、以来3年連続出場を続ける演歌界の貴公子。昨年は番組の企画で訪ねたニュージーランドのワイナリーで飲んだワインに感動し、自然と涙が溢れたそう。「飲食で泣いたのはあの時が初めて。新たな感情の扉が開きました」と微笑む。
久しぶりに松井五郎先生に歌詞を書いていただきました。2011年の『冬枯れのヴィオラ』をはじめ、松井先生の楽曲はライブの最後に歌うなど大切に歌わせていただいています。今回も、今の山内惠介が歌うにふさわしい歌詞を書いていただきたいと思いました。
冒頭からとても詩の世界に入り込みやすいなと。断崖絶壁に立ち、海を目の前に「ここで身を投げたらどうなるだろう」と自問自答する姿が目に浮かびました。窮地に立つことで答えを出す……。それは歌手、山内惠介の歩み方でもありますから、松井先生はそれを感じて書いてくださったのかもしれません。
歌詞の最後に♪私は 死にはしない♪と断言していますが、恋愛でここまで言い切るものは少ない。たとえ1人きり残されても大変な状態でも生きていくんだというメッセージを、この歌を通して伝えたいのだろうなと思いました。単なる色恋ではない生きとし生ける全ての人に向けた大きな想いが込められている歌詞ですよね。
水森英夫先生は僕の声をよくご存じなので、どこを攻めればいい声が出るかわかっていらっしゃいます(笑)。♪さらせ冬の嵐~♪の“ふ”が一番高い音だと思いますが、「は行」は発音しにくい言葉。それがしっかり出せた瞬間に、この歌は大丈夫だなと思いました。
作詩、作曲、編曲の先生方の想いを受け取って歌い手が命を吹き込む。自分の歌唱で、その歌が生きるか死ぬか変わってくる、重大な役割を担っています。ですから、常に「最高」を目指して歌います。マイクの前に立つことは自分と向き合うことで、ある意味、とても神聖なものだと思います。録音された声は僕がたとえ死んでもずっと残りますから、精神状態も含めてベストな状態でブースに入りたい気持ちは年々強くなっていますね。
はい、もちろんです。この曲は壮大で重厚なので、特に精神の強さが求められます。今回この曲をいただいた時は、「1年間毎日のように歌ったら倒れるんじゃないか」と思ったくらいです(笑)。だからこそ、1年後の僕がどう変化、成長しているか楽しみです。リリースに先立って2月の座長公演で毎日歌っていましたが、次第に歌との距離が縮まるのを感じました。でも「捕まえた」と思った瞬間、つれなくされることもありますね(笑)。
その通りです(笑)。男女の恋愛と決定的に違うのは、歌とは別れがないことでしょうか。人を愛すると相手からも「好き」と返事をもらえますが、歌は言葉で返してくれません。だからこそ、毎日歌のことばかりを考え、歌と向き合い、良い歌を歌える準備を整えています。
必ず歌詞をノートにボールペンで縦書きします。レコーディングやテレビの収録、劇場公演の日も毎日書き続けます。単に歌詞が頭に入るだけでなく、作詩家の先生の想いがかいま見えることもありますね。縦が基本ですが、たまに横書きすることも。すると意外な発見がありますね。ミュージックビデオでは、愛用のペンが登場します。実際にスタジオに雪を降らせて強風にさらされながら撮った力作なので、こちらも注目いただきたいです。
キーが合わないと気持ち良く歌えませんから、まずはご自分に一番合うキーを探すといいですね。僕も女性の歌をカバーする時などは、プラス5~マイナス5まで様々なキーで歌ってベストポジションを探します。もし地声で高い「ふ」の音が出なければ、裏声でもいい。ご自分なりの歌い方で楽しむことがいい歌の近道のはず。今は一般の方のほうがプロよりも上手だったりしますから、思い切り自慢の喉をご披露ください。
表題曲はひとつの恋が終わった心情が丁寧に描かれたドラマティックな作品。また今回はカップリング違いの3タイプをリリース。昨年10月に他界した仁井谷俊也作詩の『夢追い人』を収録した「夢盤」(写真)、『愛が信じられないなら』のアンサーソングとして松尾潔が書いた『お楽しみはこれからだ!』収録の「笑顔盤」、そして表題曲のみの「唄盤」だ。
ビクターエンタテインメント
[3/28発売]楽曲タイトル | 歌詞 | マイうた |
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さらせ冬の嵐 | 歌詞 | マイうた |
夢追い人 | 歌詞 | マイうた |
お楽しみはこれからだ! | 歌詞 | マイうた |