池田貴史のソロプロジェクトであるレキシ。最新シングル『S&G』が大ヒットしているなか早くも6枚目となるオリジナルアルバムが到着! 2年振りとなるアルバムのタイトルは、その名も『ムキシ』!!今回も豪華ゲスト陣を迎えた充実の1枚! どんな作品に仕上がったのか、レキシ本人から話を聞いてきた。
Profile
1997年SUPER BUTTER DOGのキーボード奏者としてメジャーデビュー。持ち前の日本の歴史への造詣の深さを活かし、ソロプロジェクト「レキシ」を始動、2007年にソロデビュー。ファンキーなサウンドに乗せた日本史モチーフの歌詞と、ユーモアあふれるステージが話題に。日本武道館など大規模ワンマンも即完売。幅広い層から大きな支持を集めている。
ありがたいね。でも、レキシって前から子供たちもよく聴いてくれてて。ライブにも子連れで来てくれるファミリーも多いし、それこそ『きらきら武士』を1歳ぐらいの子が歌ってますって、SNSに動画を上げてくれてたりね。だけど今回も、子供向けの曲を作ったっていう意識は全然なくて。こういう曲を子供にぶつけたら、どういう反応があるんだろうっていう想いもあったし。
そう。そこから音楽に興味を持つ入り口になっていたと思うし。『GET A NOTE』もそういうきっかけになったらいいなって思う。もちろん「カランコロン」って子供が一緒に歌えたりする、キャッチーな部分はしっかりとありつつね。
毎回アルバムを出すたびに、ファンのみんなから「次のアルバムタイトルは?」って予想されるんだけど、ありがた迷惑だよ、まったく(笑)。今回も2万枚近いジャケットにタイトルを手描きするんだけど、最初は『レキ6』にしようと思ってたの。でも書いてみたら、筆で「6」の丸を書くのがすっごい難しいわけ。だから土壇場で『ムキシ』に変わったんだよね。
これは前回、前々回にも表れた変化だけど、もはや日本史と関係ないよねっていう感覚は自分の中にあって。今回はそれを如実に感じるというか。たとえば今回、出島がテーマの曲が収録されてるんだけど、内容は待ち合わせするだけの曲。たまたま場所が歴史的な「出島」って場所なだけで。前からそうじゃんって言われたらそうなんだけど、以前はあえて「出島」みたいなレキシワードを結びつけることで、自分の中で面白がってたところがあったけど、今回は自然に歌詞を書いてるうちに、ハッと気づいたら「出島」という単語が出てくるようになってた。
まぁ、それは本を読んだり博物館に行ったり、遺跡に行ってもそうだけど、自分が日本史と向き合う時の視点なんだろうなって思うけどね。自然とレキシワードを使って、歴史じゃない曲になってるというかね。だからある意味、歴史じゃないという意味での「無」。すなわち「無キシ」でもあると。
そうそう。「無機質」とかね。偶然が必然性を生む、これもレキシならではの「気づき」だね。いよいよレキシもそういうモードに突入して、これからどうなっていくんだろうって不安がないわけでもないけど(笑)。
この曲が出来た段階で、ダンサブルだしブラック・ミュージック寄りな人がいいなと思って、大ちゃんに頼んで。実は大ちゃんは、セカンド・アルバム『レキツ』(2011年)が出た後すぐのライブに「レキシの大ファンです!」って、観に来てくれていて。ずいぶん前からレキシネームもつけていたんだよね。俺もイメージが湧いたし、今回満を持してお願いしたって感じだね。
オシャレキシとはプライベートでも仲が良すぎて、またライブやろうよとは話してたけど、改めてレコーディングしようって話は出なくなってたぐらいで。でも、「いまどんな曲作ってるの?」みたいな話をしてた時に、ちょっとビッグバンドっぽいアレンジを考えてるって言ったら、「私がアレンジしようか」って言ってくれて。でも、アレンジだけじゃもったいないっていうんで、正式にフィーチャリングもオファーしてみたら、今回はうまく実現して。これもまた機が熟したのかな。一発録りで、いい緊張感もあって凄く楽しかった。ちなみに、曲のテーマは「鎖国」(笑)。あなたと私の今の状態は鎖国状態ですよっていう。鎖国があって出島の曲があって、西郷さんも出てくるし、しかも会津の曲もある。何気に幕末に関係する曲が多くて。そこはちょっと意識した部分でもあるね。
松本隆さんのトリビュート・ライブを観に行った時にご挨拶させてもらって。葵ちゃんもレキシを以前から聴いてくれてて、レキシネームが欲しいっていうから、これはもうビッグチャンスだ!と。なんせ俺を形成してる音楽といえば「ジブリ」「ビートルズ」「Pファンク」だから。その三大要素の1つを代表するミューズですからね。俺にとっては「あっ、ジョージがいる!」みたいな。この場合のジョージはハリスンであり、クリントンでもあるんだけどね(笑)。
やっぱりね、練習しかない! 歌が上手い下手って、結局はその曲に慣れてるかどうかが大きいから。とにかく何回も歌う。俺だってそうだもん。『きらきら武士』をライブで歌ってて、急にみんなから歌が上手くなったねって言われはじめたことがあって。それはね、歌うことに慣れただけなの(笑)。
うーんとね、タオル回しながら歌えばいいと思う。この曲の跳ねるビートは、タオル振りながらだと身に入りやすい! 見た目的にも楽しそうに見えるから、それでごまかす(笑)。やっぱ視覚って大事だしね。あと地声とファルセットを上手く歌いわける秘訣は、ヨーデル。『アルプスの少女ハイジ』の『おしえて』を歌って練習するべし!