しらふ
この曲の歌詞
「自分以外皆死ね」
ってのは
「もう死にてえ」
ってのと同義だ
団地からの三人称視点
寂れた外壁に
吸いさしの煙草押し付け
現場監督の怒号に
唾を吐いて夕暮れ
もう消えてくれ
未だ歌手としては無名
ぼろぼろになるまで
働いて食う飯はうめえ
けど明日にはばっくれ
我慢、忍耐とは無縁
こんな僕に光が射すなら
早くそうしてくれ
解体作業、
ソープ、オフィス、
世田谷の小学校
豊かな心、
情操教育で
現実を描こう
アスベスト吸い込み、
渡る現場は鬼ばかり
高所作業、
安全帯無しで
人生綱渡り
こんなはずじゃなかった
頭で繰り返し
これで何百回目かの
人生の振り出し
もう無理かもね
祈る気力もない流星
あの日期待した
僕の才能、下方修正
努力 積み上げた
労力は結局徒労
それなら目の前にある
惰眠をむさぼろう
昨日出来たはずの
世紀の名曲は
掃いて捨てる程ある
駄作にも埋もれる駄作だ
埃だらけの作業服
冷たい視線 山手線
特に原宿より
南は痛てえ
俳優、バンドマン、
その日暮らしに
ホームレス
履歴書なしで
派遣される工務店
事務所前チューハイで
乾杯の晴天 古株の面々
まるで現代の蟹工船
妥協でされるがままの
搾取 汗を酒で潤す
さながらヨイトマケの唄か
山谷ブルース
夢見がちな馬鹿と
ギリギリの奴らが集い
気がついたら
僕もそんな一派の一人
泥酔にまかせて現実を
ずらかった 夢も
消えちゃった 「今日の
仕事も辛かった」
スナックの皿洗い、
送迎じゃまどろっこい
大湊自衛隊員の
愚痴には酷く悪酔い
次第に増える独り言、
あの日の怒号、
反響するエコー
いや待て、これは
もしかしたら幻聴
フラッシュバックで
言葉を書く
マッチポンプな自傷行為
宿命とは聞こえがいいが
ようは体のいい呪いだ
早揚がりの泥酔の果てに
ふらふらの自意識が
下手な勘ぐりを
し出す前にもう眠るか
「自分以外皆死ね」
ってのは
「もう死にてえ」
ってのと同義だ
悪いのは僕か世界か
千鳥足じゃ
ふるさとに吹く風だって
冷てえ
こんなんじゃ世間だって
いざって時にはつれねえ
震えて朝焼け
外套の襟を立て
勇んで出てったはずの
ふるさとにまた立って
もうここには居られねえ
自暴自棄な足取りで
分かったもう出てくよ
僕はすっかり素面で
老いも若きも
酔っぱらいの三千世界で
我こそが純粋なる
全うな素面で
痛み真っ向から食らい
歌う酩酊いらずで
青年は詩を書く
離れた陰気な群れ
属する場所が
ないって場所には
ぬけぬけと属して
舐め合う傷跡は
蜜の様に甘え
そのカビ臭い
地下室からは
さっさと抜け出して
むき出しの肌で
受け止める現実の雨
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