

大人気マンガ『ONE PIECE』の劇場版第13作目となる『ONE PIECE FILM GOLD』が現在大ヒット公開中だ。その主題歌「怒りをくれよ」を歌うのが、原作者・尾田栄一郎の激推しにより大抜擢されたGLIM SPANKY。同曲が収録された2nd Album『Next One』をリリースしたばかりのGLIM SPANKYに今の気持ちを聞いた!
Profile
松尾レミ(Vo.&G.)と亀本寛貴(G.)によるロックユニット。2014年に1stミニアルバム『焦燥』でメジャーデビュー。松尾のハスキーで情熱的なヴォーカルと、60~70年代のロックやブルースへのリスペクトを常に秘めたパワフルでエモーショナルなロックサウンドで幅広いロックファンから高い人気と支持を集める。EP「話をしよう/時代のヒーロー」はiTunesロックアルバムランキングで1位に。9月からはアルバム『Next One』を携えた全国ツアーも行う。
松尾レミ(以下、松尾)「私たちの曲を原作者の尾田栄一郎先生がラジオで聴いて、映画主題歌にと推してくださったとうかがいました。私は普段から、本気で思っていることしか歌にしていません。どんなアーティストの曲でも、本気の歌は時代に関係なく人の心を揺さぶりますよね。GLIM SPANKYの曲を聴いた人が“こいつ、もしかしてバカなんじゃないの?”って驚くくらい、常に本気で歌っています。その気持ちが尾田先生にも届いたのだとしたら嬉しいです」

松尾「もちろんです!めちゃめちゃ『ONE PIECE』世代なので、先生が私たちの音楽を知ってくれているなんて驚きでしたし、凄く嬉しかったです。しかもミーティングの時に、映画サイドの方から“『ONE PIECE』っぽくない曲でいいので、自由に作ってください”“ONE PIECE vs GLIM SPANKYのような楽曲がいい”とまで言っていただけて。その言葉がロックだなと思って感激したし、願ってもないコラボだと思いました」
亀本寛貴(以下、亀本)「作品の大ファンなので、少しは寄せて作ってもいいと思っていたくらいだったので意外でしたね。ただ、その分すごく悩むことにもなりました」
松尾「私たちらしい楽曲ってなんだろうって、迷宮にハマッてしまいました。こんな素晴らしいチャンスをいただいたのだから“最強の曲を作るんだ”と気持ちばかりが先走って、焦ってしまったんです。アコギを弾いても何も浮かんでこず、とうとう締切日に……。その時に、“こんな機会を得たのに何も浮かばないなんて情けない”“ミュージシャンとしてなんて自分はダメなんだ!”って怒りが湧いてきて。それに気づいた瞬間、これをテーマに書こうと思いました。私はたまたま音楽でしたが、他の人も焦ったり迷っている自分に対して不甲斐ない気持ちになって怒りが湧いてくることはあると思うんです。その怒りをポジティブな力に変えて前に進もうというメッセージにして歌ったら、きっと届くんじゃないかなと思いました」
亀本「レミさんが悩んだり、苦しんでる時は僕はだいたいゲームして待ってます(笑)。レミさんなら絶対にできると信じてるから、僕はそれを待つだけなんですよ」
松尾「あまり口出しされたり心配されても逆にプレッシャーになるから、“できるよ”とだけ言ってあとは放っておいてくれるのがいいんですよ。“できるよ”って言ってもらうと、不思議とやる気が出るんです(笑)」

亀本「だと思います。僕自身が歌詞の完成形を聴いたのはミックスの時だったので、ギターの収録時はまだわからなかったんですよ。でも、アニメの映像と曲が重なっているのを見た時に、すごくハマッてて驚きました」
松尾「主人公のルフィが誰かと戦う時、仲間を傷つけられたり自分たちの想いを踏みにじられた時に怒りが湧いて、それを戦う力にしてると思うんです。さらにルフィは単に怒りに任せるんじゃなく、その先に夢や希望を抱いているから戦えるんですよね。それは私たちが伝えたい思いでもあるので、違和感なく歌えました。それに私自身、この難関を超えなきゃ強い自分になれないと思ったので、どうしても書きあげたかった。着地点が見えてからは、共作していただいた、いしわたり淳治さんと何度もやりとりしながら思いを形にしていきました。いしわたりさんはキャッチーな言葉を考え出す天才なんです」
亀本「そうだよね。普通なら“調子に乗るな”って言うところを、“調子に乗れ”って言葉を出してきたり」
松尾「伝えたい思いがあるのに、しっくりくる言葉が浮かばない時などは相談に乗ってもらいます。そもそも本気で歌えば伝わるってことに気づかせてくれたのも、いしわたりさんです。1年ほど前に話をしていた時に、“僕は歌詞をたくさん書くようになって気づいたことがある。例えば、愛してるって、たくさんの人が歌うけど、それが変に恥ずかしく聴こえたり、本物だと思えることもある。それは歌う人が本気で歌ってるかどうかなんだと思う”とおっしゃった。それを聞いてハッとしましたね。実は、以前の私はカッコ悪い言葉は歌いたくないと思っていて、NGワードがあったんです。でも言葉が問題じゃないんだと気づいてからは、どんな言葉も本気で歌って届けたいと思うようになりました」
松尾「亀田さんは最終的に助言をいただく感じで、基本的なサウンドは私たちで作り上げています。このアレンジについてもほとんど変更がなかったですね。デビュー前から私たちのライヴを見てくれてるので、やりたいことをちゃんとわかってくださってるんだと思います」
亀本「今回は人気アニメの映画主題歌なので、普段はロックを全然聴かない人も耳にすると思ったんです。だからこそそういう人に寄せて柔らかくするんじゃなく、あえてギンギンのハードロックのようなパワフルなサウンドにして、“ロックってかっこいいんだな”って思ってもらえるきっかけにしたいと思ったんです。こういう熱量の高い曲は、普段なら振り切りすぎて作品化できないかもしれないけど、『ONE PIECE』という強い仲間のおかげで僕らが挑もうとするフィールドで思う存分に闘えました。普段はポップな曲ばかりを聴いてる人にもわかりやすいように、ギターソロも思いっきり弾き倒しました(笑)。なおかつ、全体が単調にならないようAメロで工夫もしましたね」
松尾「この曲は音程とか細かいことを考えずに感情を爆発させて歌ってほしいですね。何度も言いますが、この歌詞を自分の本当の感情だと思い込んで歌えば全てOK!100点は取れないかもしれないけど、ピッチなんて少しくらいズレても構わない気持ちで歌ってください。ただ、わりとずっとキーが高い曲で、最後は特にサビが2回続くので、息が続かなくなる可能性があります。最後のサビは音階も1段高くなるから、その前にブレスのポイントを見つけて息をたっぷり吸い込むといいですね。息が足りないと余計に高い音が出にくくなりますから」
亀本「体力がかなり必要そうだよね」
松尾「最初からフルパワーで歌うと持たなくなるかも。序盤は感情を込めながらも7割くらいにとどめて、最後に向けて高めていくとメリハリも生まれていいと思います」

松尾「前作(2015年7月22日リリースの1stアルバム『SUNRISE JOURNEY』)を踏まえ、やりたいことを詰め込んだ作品になりました。打ち込みのドラムを入れたりとサウンドで今までやったことがないチャレンジができましたし、ライヴを意識して、皆で合唱できる曲も作りました」
亀本「映画主題歌のように間口の広い曲もあるので、それを機に僕らの曲を知ってくれた人、そしてロックが好きな人がこのアルバムを聴いて、“ほかにもこんなかっこいい曲があるんだ”って思ってもらえる作品にしたつもりです。ブルースを感じる曲やバラードもあるけど、どんな曲もロックだと言い切れますね」
松尾「そうだね。ロックの引き出しを見せつけるアルバムです。ロックはどんなに激しくても、痛烈な批判を歌っていてもどこかに必ず愛がある。このアルバムを通じて、その奥深さにも気づいてもらえたらいいですね」
松尾「どんなに爆音が響きわたる会場でも、ヴォーカリストとして、必ず歌が届くように歌いたいです。ライヴだからこその生々しい感情をより肌で感じてもらえるように」
亀本「レミさんの躍動感あふれる歌声と、生身の僕が奏でるギターの音だからこそ届けられる何かがあると信じてやっています。生音の魅力を堪能できるライヴを是非体感してもらいたいですね」
亀本「ギタリストとして最近は、テクニックがどうのってことはあまり考えなくなりました(笑)。それよりは、特にライヴで弾く時はいかにカッコよくプレイできるか考えます。“ロックってかっこいいんだな”とたくさんの人に思ってほしいですからね。そのため近頃は、ジョー・ペリーの動画とかよく見てポージングとかを研究してます(笑)」
松尾「ロックって音楽だけを指すものじゃないと思うんです。いい音楽が大前提ですが、アートやファッション、文学性なども含めたカルチャーだと思うし、そのかっこよさに少しでも気付いてもらえるために発信していきたいです。そういう意味で、『ONE PIECE』は今のポップカルチャーを象徴する作品だから、コラボはすごく光栄ですし、こういうロックな曲がお茶の間に流れると思うとそれだけでワクワクします(笑)。悲しいかな、今はロックはマイノリティな存在だと思われてるけど、本当は凄くかっこいいんだということを私たちの活動を通じて少しでも広められたら嬉しいですね」
日本のみならず世界中に熱狂的なファンを持つ作品『ONE PIECE』の最新劇場版。世界最大のエンターテインメントシティを舞台に、“黄金帝”ギルド・テゾーロとルフィたちとの信念を賭けた闘いが始まる!満島ひかりや濱田岳、菜々緒、ケンドーコバヤシ、北大路欣也ら、ゲスト声優も豪華。
原作・総合プロデューサー:尾田栄一郎(集英社 週刊「少年ジャンプ」連載)
監督:宮元宏彰 脚本:黒岩勉劇場版『ONE PIECE FILM GOLD』主題歌の「怒りをくれよ」をはじめ、ブラインドサッカー日本代表公式ソング「NEXT ONE」やアニメ『境界のRINNE』第2シリーズエンディングテーマ、Amazonオリジナルドラマ『宇宙の仕事』主題歌の「時代のヒーロー」を含む2ndフルアルバム。疾走感溢れるナンバーから切なくも温かなバラードまで多彩。骨太で力強いバンドサウンドに対峙するかのようなパワフルかつ巧みな松尾のヴォーカルに圧倒される。
Virgin Music
[7/20発売]©尾田栄一郎/2016「ワンピース」製作委員会
| 楽曲タイトル | 歌詞 | マイうた |
|---|---|---|
| 怒りをくれよ | 歌詞 | マイうた |
| これまでの劇場版主題歌 | 歌手名 | 歌詞 | マイうた |
|---|---|---|---|
| 第1作:ONE PIECE(2000年) ウィーアー! |
きただにひろし | 歌詞 | マイうた |
| 第2作:ONE PIECE ねじまき島の冒険(2001年) Believe |
Folder5 | 歌詞 | マイうた |
| 第3作:ONE PIECE 珍獣島のチョッパー王国(2002年) まぶしくて |
DASEIN | 歌詞 | マイうた |
| 第4作:ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険(2003年) sailing day |
BUMP OF CHICKEN | 歌詞 | マイうた |
| 第5作:ONE PIECE 呪われた聖剣(2004年) あの場所へ |
晴晴゛ | 歌詞 | マイうた |
| 第6作:ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島(2005年) 夢みる頃を過ぎても |
氣志團 | 歌詞 | マイうた |
| ONE PIECE THE MOVIE カラクリ城のメカ巨兵(2006年) サヤエンドウ |
NEWS | 歌詞 | マイうた |
| 第8作:ONE PIECE エピソード オブ アラバスタ 砂漠の王女と海賊たち(2007年) compass |
川嶋あい | 歌詞 | マイうた |
| 第9作:ONE PIECE THE MOVIE エピソード オブ チョッパー+冬に咲く、奇跡の桜(2008年) またね -ALBUM VERSION- |
DREAMS COME TRUE | 歌詞 | マイうた |
| 第10作:ONE PIECE FILM STRONG WORLD(2009年) fanfare |
Mr.Children | 歌詞 | マイうた |
| 第11作:ONE PIECE 麦わらチェイス(2011年) Break into the Light~約束の帽子~ ※インストルメンタルのためカラオケ配信はありません。 |
東京スカパラダイスオーケストラ | ||
| 第12作:ONE PIECE FILM Z(2012年) How You Remind Me |
Avril Lavigne | 歌詞 | マイうた |
| 第12作:ONE PIECE FILM Z(2012年) BAD REPUTATION |
Avril Lavigne | 歌詞 | マイうた |