2020年4月でデビュー4年目を迎える真田ナオキが、心機一転、テイチクレコードに移籍し新曲をリリース。師匠である吉幾三作詞・作曲による、タイトルは『恵比寿』――。今までとは雰囲気の違うラブソングだ。新曲にかける意気込み、そして師匠とのエピソードなど、今年、さらなる活躍が期待される彼から話を聞いた。
Profile
東日本大震災が起きた後、多くの歌手による被災地訪問に心を動かされ歌手への道へ。人に聴いてもらえる声を作りたいという一心で海辺で喉をつぶし強い歌声にする日々を送る。吉幾三を師とし、2016年『れい子』でデビュー。2018年にリリースした『酔いのブルース』がヒットを記録。今回、テイチクレコードに移籍し『恵比寿』をリリースした。
顔と歌声が一致しないと、多くの方からよく言われます(笑)。ただ、そのおかげで歌声を覚えていただけるので、この歌声でよかったなと思っています。でも、僕は歌手なので、声よりも歌の本質をもっと磨いていかないといけません。より歌を勉強しなければと思っています。
師匠である吉幾三先生の存在が大きいですね。いつも僕の楽曲を作ってくださるんですが、仮歌を聴くたびに、その素晴らしさに心が折れそうになるんです。先生の歌声は、言葉がすっと入ってきて、心を揺さぶるんですよ。僕も早くそういった歌い方ができるようになりたいなと思いながら、日々練習しています。
先生のアドバイスは大体適当なんです(笑)。「心がこもっていれば歌なんか下手でいいんだよ」って。それよりも、「人間なんだから心を大切にしなさい」ということを教えてくれるんです。“芸の肥やし”という言葉がありますが、歌には人間性が出ると思うので、いろんな経験をして人間性を常に磨いて歌に繋げたいと思っています。
先生が作る曲は、不倫などの切ない曲が多いんですが、これは幸せな歌なんです。それが凄く珍しいなというのが第一印象でした。だからこそ、レコーディングは苦労しましたね。これまで切ない歌ばかり歌ってきたので、このようなアップテンポの歌は難しくて。でも、ステージに自分がいて、お客様と一緒に笑っているという風景をイメージしたら、凄く上手く歌えたんですよ。
凄く近くて、大切な存在です。特に演歌は握手をしながら全国をまわったりするので、来てくれた方を覚えているんです。以前は人の顔を覚えるのが苦手だったんですが、歌手になってから、より人のことを好きになったせいか、電車に乗っていても、“この人はどういう人だろう”という想像さえするようになりました(笑)。
一番の支えです。取材や収録も楽しいんですが、ずば抜けて現場が楽しくて、お客様と会えない日は寂しくて仕方がないほどです。よくスタッフさんが「休まなくて大丈夫?」と聞いてくださるんですが、僕は休むよりも現場に行って、みなさんにお会いしたいんです。歌っているというよりかは、みなさんと遊んでいる感覚なんですよ(笑)。なので、楽しすぎて長くなり、常に「早く終われ」とスタッフから“巻き”が入ります(笑)。
凄く嬉しいです。それに、僕も好きな人ができたら一途に思い続けるタイプなので、この主人公には共感ができるんですよ。ただ、恵比寿のようなオシャレな街に出かけるという内容は僕と違うところだなと思いました(笑)。
歌いだしの「惚れちまったの俺」というフレーズは耳に残る部分なので、思い切り怒鳴ってもいいので、唸ってください。あとは、リズム感を意識してもらえたら上手く歌えると思います。また、僕がいつも大事にしているのは、同じ言葉が続く時は全く違うように歌うこと。たとえば、この曲であれば、「涙ポロっと ポロっと」のところです。1回目は涙がこぼれそうなのを我慢する「ポロっと」で、2回目の「ポロっと」はこぼれてしまったよという気持ちで歌うんです。すると、全く違うように聴こえるのでやってみてください。ほかにも、最初の「惚れちまったの俺」というところは少し恥ずかしそうな感じで、一番最後はどうしようもなく惚れてしまったんだという気持ちが溢れる「惚れちまったの俺!」という感じで歌うと最高だと思います。
そうなんです!先ほど、リズム感が大事だと言いましたが、僕自身、リズム感があまりなくて……(苦笑)。なので、最初は全然踊れなくて大変だったんです。振り付けに集中すると歌詞が飛ぶし、その反対もあってどうしようかと思ったんですが、なんとか頑張りました(笑)。簡単な手振りがあるので、コンサートでみなさんと一緒にできたら嬉しいですね。
この曲は、先生が東日本大震災の時に書き溜めておいた曲なんです。故郷に帰りたくても帰れなくなってしまった方々が、やっと帰れるようになって笑顔になるという曲なんですが、僕自身、東日本大震災がデビューのきっかけだったので、こういった歌をいただけて嬉しいなと思いました。きっと、本当にこういった体験をしている方がたくさんいらっしゃると思うんですよ。それに、歌詞の中に「元気でいますか… 柿をくれたあのおばさん」というフレーズがあるんですが、そこが凄く“先生らしいな”って思ったんです。おばさんって近しい人ではなくて、その時に会っただけの人も指しますよね。そういったところまで優しさを配れる先生の人柄がでているなと思いました。
『恵比寿』よりも難しかったですね。この曲は、演歌らしい唸るところもありませんでしたし、気持ちをストレートに伝える曲なので、最初はどう歌っていいかわからなかったんです。改めて、曲調と歌詞で歌い方が変わることを感じさせられました。
この曲は本当に切ない歌詞なんですが、自分を戒めて、これから先を生きていこうという、前向きなラストで終わるんです。さらに、先生が好きな“夜汽車”や“田舎町”という言葉が出ているので凄く親しみがわきました。ぜひ歌詞を読みながら聴いてもらえたら嬉しいです。
この9年で、僕は歌中心の生活に変わり、僕の歌で泣いてくれたり、笑ってくれたりすることに驚きながらも、僕の歌がみなさんの記憶の一部になってくれていることを実感できたんです。だからこそ、今後も、みなさんの苦しい時の支えになるような曲を歌っていきたいですね。まずは5月に東京キネマ倶楽部で初めてのコンサートを開催するので、それをぜひ見に来てもらえたら嬉しいです!
TEXT:Kana Yoshida
「惚れちまったの俺」という印象的なフレーズから始まる、力強く明るいサウンドがとても気持ちよく響くラブソング。今回はカップリングが異なる2タイプをリリース。「西口盤」は『昔に…誘われて』、「東口盤」は『我が身恨んで』が収録されている。3曲ともまったくタイプの違う曲だからこそ、彼の実力を感じることができる。
テイチクエンタテインメント
[1/22発売]楽曲タイトル | マイうた |
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恵比寿 | マイうた |
昔に…誘われて | マイうた |
我が身恨んで | マイうた |