• 初の映画主題歌となる新曲が完成しましたね。

  昨年、『コンフィデンスマンJP』のドラマ主題歌を担当させていただき、今回また、大好きな作品に携わらせていただけると知った時はとても嬉しかったです。テレビからスクリーンへと移り、舞台も日本から世界（香港）に広がったので、ヒゲダンとしてもより広い世界観で楽曲を作りたいと思いました。映画サイドからは「THE WHOのような楽曲を……」というリクエストをいただいたのですが、結果的にまた違った楽曲になりましたね（笑）。何度かキャッチボールをしていくうちに映画サイドのイメージも変化していったようで、最終的に『Pretender』へと着地した感じでした。（藤原聡）

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• アレンジはどのように組み立てましたか？

  藤原がほぼアレンジまで固めていたので、いかにいい音でいい演奏にするかを考えました。Bメロでドラムが打ち込みから生の音に変わるんですが、僕にはジャンルが変わるかのように聴こえたんです。なので、ベースもそれに合わせて打ち込みではピック弾き、生ドラムでは指弾きと奏法を変えています。（楢崎誠）

  UKロックはギターサウンドがカッコいいイメージがあったので、イントロの“きらびやかさ”を大事したり、他の部分で弾くほぼ低弦の音の質感にもこだわりました。普段はめったに弾けないようなビンテージギターを貸りて、10本近くを使い分けましたね。アンプも5～6台を使い分けて録ったんですが、それでも納得できなくて。ずっと僕の中で憧れていたアンプがあったので、藤原が歌録りしている間に買いに走りました。（小笹大輔）

  ドラムは完全な生音と、打ち込みに自分が叩くハットを組み合わせた部分があります。生の部分は全員で録ったんですが、“軽やかさ”がほしいと思い、事前に参考になる音源を聴いてイメージを膨らませました。生音からグリッドされた打ち込みに移行するのは、慎重に持っていかないと変な違和感が生じるので、プレーでも最大限、きれいに移行できるよう叩いたつもりです。エディットもこだわったのでイメージ通りの音になりました。（松浦匡希）

• 改めて、完成した『Pretender』はどうでしょう。

  僕は誰かの曲を聴いて「凄いな、かっこいいな」と感じると、「美しい」って思うんですが、この曲でやっと僕らも「美しい曲」に到達できたのかなと。（小笹）

  映画の試写で、最後にエンドロールとともにこの曲が流れたのを聴いた時に、「この曲を作って本当に良かった」と感じました。映画にも似合っていたし、力強さもあって感情を揺さぶられる曲なんです。（松浦）

  僕らにはブラックミュージックというルーツがあるんですが、そことはまた違うヒゲダンの一面を届けられる曲になったと思います。映画の魅力と僕ららしさを上手く融合させることができたし、それを作る過程で新しい音楽への扉を開くこともできたと感じています。（藤原）

  MVを台湾で撮影したんですが、人が本当に温かくて感動しました。僕らが演奏する屋上のレトロなネオンは、映像や楽曲の世界観に合わせてわざわざ作っていただいたもの。楽曲の魅力が伝わる映像だと思うので、そちらもぜひ見ていただきたいですね。（楢崎）

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• 最後に、『Pretender』をカラオケで歌うコツは？

  キーが高く決して歌いやすい曲ではないかもしれません。上手い下手ではなく自分の中で一番きれいだと思う声で、「美しい歌になればいいな」と思いながら歌ってみてください。僕自身もきれいな歌をイメージしてレコーディングしています。あと、曲を聴いて感じる「心の凹凸感」を大事に歌っていただけたらいいのかなと。Aメロは情景描写や設定を語ることが多く、Bメロで感情を乗せることが多いので、声のトーンも自ずと変わるだろうし、サビの「君は綺麗だ」「とても綺麗だ」は歌っていて爽快ですよ。
  逆にカップリング曲『Amazing』はサビのキーが少し低め。低音は声が出しにくかったりしますが、そこをしっかり出すことで歌全体が整うので頑張ってほしいです。リズムがはきはきしたダンサブルな楽曲ですし、楽しんでリズムに乗って歌ってもらうのが一番かなと思います。（藤原）

TEXT：Yuko Kitsukawa

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