
今シーズンのアニメ主題歌で最も多く歌われたのは、Mrs. GREEN APPLEによるTVアニメ『薬屋のひとりごと』第2期 第2クールのオープニングテーマ「クスシキ」。4月にリリースされたばかりの新曲ながら、2025年発売曲の中でカラオケ総合ランキング5位に入るなど、上半期を代表するヒットソングとなっています。続いて2位にランクインしたのは、米津玄師によるTVシリーズ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の主題歌「Plazma」。劇場先行版でも主題歌として使用された本楽曲は、エレクトロとロックを融合させたサウンドが特徴で、聴く人を瞬時に引き込む中毒性の高い一曲。浮遊感と緊張感がせめぎ合う音作りが、米津玄師ならではの独創的な世界観を際立たせています。また、同作のエンディングテーマである星街すいせいの「もうどうなってもいいや」も5位にランクイン。劇場先行版では挿入歌として使用されていたこともあり、TVアニメ放送前から注目を集めていた楽曲で、6月上旬のカラオケ配信から一気にランキング上位に躍り出ました。
このほか注目すべきは、3位にランクインした『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』のオープニングテーマ、こっちのけんと「けっかおーらい」。こっちのけんとらしいノリの良さと、軽快でクセになるメロディが魅力のこの楽曲は、カラオケでも盛り上がる曲として人気!特にそのダンスシーンに流れる歌詞が、『僕のヒーローアカデミア』本編の主人公の名セリフと重なることから、SNSでは多くのファンが「胸アツ!」と歓喜の声を上げ、注目を集めました。そして、アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』第1クールのオープニング主題歌、[Alexandros]「超える」が7位にランクイン![Alexandros]ならではのスピード感あふれるサウンドと、「ウマ娘」のアニメーションが持つ疾走感が見事に融合し、迫力ある映像と相まって高い支持を集めました。さらに、7話から一部カットが変更されたオープニング映像の比較もSNSで話題となり、その熱い構成から製作陣の作品愛が伝わると、多くのファンの心をつかんでいます。
| 順位 | 曲名 | 歌手名/番組名 | 歌詞 | マイうた登録 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 |
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会 |
クスシキ | Mrs. GREEN APPLE 薬屋のひとりごと |
歌詞 | マイうた |
| 2 |
© 創通・サンライズ |
Plazma | 米津玄師 機動戦士Gundam GQuuuuuuX/機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning- |
歌詞 | マイうた |
| 3 |
© 古橋秀之・別天荒人・堀越耕平/集英社・ヴィジランテ製作委員会 |
けっかおーらい | こっちのけんと ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS- |
歌詞 | マイうた |
※ランキングは、オリジナルコンテンツを総合したランキングになります。
※ランキングは、JOYSOUNDシリーズ・UGAシリーズを総合したランキングになります。
※カラオケランキング集計期間:2025年6月1日~6月30日
作品としての注目度を示す配信コンテンツ視聴者数ランキングでは、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第2期 第2クールの群を抜く人気ぶりが明らかとなりました。また、続く2位にはTVシリーズ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』、3位には『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』がランクインし、いずれも作品の注目度とカラオケでの人気曲がリンクする結果となっています。
このほか、視聴者数ランキングで8位に入った『黒執事 -緑の魔女編-』では、オープニングテーマのCo shu Nie feat. HYDE「MAISIE」とエンディングテーマの龍宮城「WALTZ」が、ともにカラオケランキングで上位にランクイン。いずれも女性層からの支持が高いアーティストであり、作品の視聴者層との親和性の高さが、ランキング結果にも表れています。
一方、視聴者数ランキングでは惜しくも圏外となったTVアニメ『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)』は、HoneyWorks feat. ハコニワリリィが手掛けたオープニングテーマ「質問、恋って何でしょうか?」がカラオケランキングで11位にランクイン。物語のテーマと楽曲の世界観が見事に重なっており、アニメ視聴者からの支持が厚いだけでなく、恋愛に対する素朴な疑問や不安を等身大で描いた歌詞が若い世代の共感を呼び、作品の枠を超えて楽曲単体としての人気が広がっていることがうかがえます。
| 順位 | 作品名 ※()内の最新作を含むシリーズ | 視聴者数pt |
|---|---|---|
| 1 | 薬屋のひとりごと(薬屋のひとりごと 第2期) | 3006 |
| 2 | 機動戦士ガンダム(機動戦士Gundam GQuuuuuuX) | 1235 |
| 3 | 僕のヒーローアカデミア(ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-) | 371 |
| 4 | WIND BREAKER(WIND BREAKER Season 2) | 291 |
| 5 | 片田舎のおっさん、剣聖になる ~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~(片田舎のおっさん、剣聖になる) | 288 |
| 6 | ウマ娘 プリティーダービー(ウマ娘 シンデレラグレイ) | 246 |
| 7 | ウマ娘 プリティーダービー(うまゆる ぷりてぃ~ぐれい) | 246 |
| 8 | 黒執事(黒執事 -緑の魔女編-) | 245 |
| 9 | LAZARUS ラザロ | 236 |
| 10 | ウィッチウォッチ | 217 |
| 11 | 炎炎ノ消防隊(炎炎ノ消防隊 参ノ章) | 204 |
| 12 | 九龍ジェネリックロマンス | 134 |
| 13 | 〈小市民〉シリーズ(小市民シリーズ 第2期) | 129 |
| 14 | 阿波連さんははかれない(阿波連さんははかれない season2) | 119 |
| 15 | プリキュアシリーズ(ぷちきゅあ~Precure Fairies~) | 108 |
| 16 | mono | 106 |
| 17 | 謎解きはディナーのあとで | 102 |
| 18 | ギャグマンガ日和(増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GO) | 90 |
| 19 | アポカリプスホテル | 89 |
| 20 | 勘違いの工房主(勘違いの工房主~英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話~) | 85 |
出典:GEM Partners「エンタメリーチトラッカー」(掲載ptは小数点第1で四捨五入)
調査対象期間:2025年4月1日~6月中旬
■「エンタメリーチトラッカー」調査概要
【調査方法】インターネットアンケート
【調査対象】日本在住の15~69歳の男女
【延べ回答者数】週次約24,500人(日次 約3,500人)
※上記のサンプル数で日次調査を実施し、週次で集計
【集計期間】月曜~日曜
【数値重みづけ】総務省発表の人口統計を参考に回答者を性年代別に重みづけ
【集計方法】
リーチしたエンタメ(映像/マンガ/書籍/家庭用ゲーム/アプリゲーム/音楽[アーティスト]/ラジオ・ポッドキャスト番組)について自由回答方式で日次の頻度で聴取し、GOD(GEM Original Database)に基づき体系的に整理・名寄せしたうえ、週次単位(火曜~月曜)で集計を実施。聴取したエンタメのうち、映像コンテンツにおける定額制動画配信サービスを利用して視聴したコンテンツのみを対象としている。映像コンテンツごとの視聴したシーズン数やエピソード数等は区別せず、一部でも観たと回答した人を視聴者としてカウント。また、劇場/テレビ版や海外/国内版も同一コンテンツとしてカウント(一部例外あり)。複数回観ても1カウントとしている。
※名寄せ辞書のアップデートに伴い、過去に遡って値が修正されることがあります。
吉田 尚記さん
結さん
2016年より配信されているネット番組で、正式名称は「僕たちは新作アニメのプロモーション映像を3時間かけて一気観したらどのくらいつづきをみたくなるのだろうか?」。ニッポン放送のアナウンサーである吉田尚記と共に、新作アニメのPVをまとめて視聴する企画。毎クール多くのアニメが放映される中、「タイトルだけ確認して本編見ない」「そもそも作品ある事知らなかった」という所謂「ゼロ話切り」を世の中から撲滅する為始められた。2016年秋アニメより開始され、以降クールが始まる直前に開催されている。PVはそのクールのアニメだけでなく、劇場版・OVAも紹介される。ニコニコ生放送・バンダイチャンネルを始めとするメディアで配信されている。
吉田アナ:今季もそうそうたるアーティストが名を連ねるなか、本命と思われた『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の米津玄師「Plazma」が1位を逃したことは驚きましたね。『薬屋のひとりごと』第2期がどれだけ強かったかということの表れでもありますね。
結さん:作品の圧倒的な人気はもちろんですが、Mrs. GREEN APPLEファンの熱量も影響していそうですね。
吉田アナ:そうですね。近年は、有名作品の主題歌は “国民的アーティスト”クラスが手掛けることが定番になってきています。そのなかで、作品との親和性が高く、その世界観にぴったり寄り添ったOmoinotake「ひとりごと」が8位にランクインしたのは、納得というか「やっぱり来たか」という感じがします。
結さん:Omoinotakeといえば、昨年はドラマ主題歌で注目されましたが、アニメでもしっかり話題作に抜擢されていて勢いを感じますよね。それにしても、毎回感じるんですが、ランキングに入ってくる楽曲、歌うのが難しい曲も多いですよね。今回で言えば、水曜日のカンパネラ「サマータイムゴースト」や、Cö shu Nie feat. HYDEの「MAISIE」なんかは特に難易度が高い。でも、歌えないかもしれないけど、挑戦してみて、意外と歌えた!ってなったときの喜びもカラオケの醍醐味だと思います。
吉田アナ:西川貴教さんが「あの片田舎のおっさん、剣聖になる」のオープニングを担当していたのも最高にハマってました。あと、『ウィッチウォッチ』はアニメとしてもすごく面白かった。YOASOBIが手掛けたオープニング「Watch me!」も、これまた贅沢なタイアップでしたよね。
結さん:エンディング主題歌「魔法はスパイス」を歌っているAoooは、いまバンドシーンでも注目度がぐんぐん上がっていますよね。Aoooやyutoriのような新進気鋭の若手バンドが、アニメタイアップをきっかけにしっかり話題になっているのは、本当にうれしい流れです。
吉田アナ:個人的に印象に残ったのは『前橋ウィッチーズ』。実はアイドル活動にも本気で取り組んでいるという設定がポイントで、アニメ現場だけでなく、リアルなアイドルファンの間でも評判が高いんですよね。作品自体も野心的で、ものすごく濃い内容でした。
結さん:アニメが終わっても、キャラクターやアーティストとしての活動が続いていく流れが増えていますが、「これで終わりじゃないかも」という、今後の展開への期待感や希望をファンに与えてくれるのも嬉しいところです。そして、星街すいせいさん。彼女は「ビビデバ」でバズっていたのはもちろんですが、VTuber界隈のトップ的な存在。今回は『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』に起用されたことで、既存のファンの枠を超えて、アニメファンに対しても存在を示した感じあります。
吉田アナ:確かにそうですね。それと話題にもなっていましたけど、「アポカリプスホテル」のオープニングテーマ、aikoさんの「skirt」。あの曲、歌える人いるの!?ってくらい難易度が高い(笑)。でも、aikoさんみたいにキャリアのある人がああやって堂々と歌っているからこそ、「これでいいんだ」って思えるんですよね。
結さん:Cö shu Nieとかもそうですけど、歌えないかもしれないけど歌ってみる。その結果、「お!歌えるじゃん!」って、言ってもらえるのが気持ちいい。
吉田アナ:それこそ、カラオケの楽しみですよね。あと、今シーズン印象に残った作品が『LAZARUS ラザロ』。音楽的に超かっこよかった。作品全体がまるでDJプレイとして構成されているような作りで、セリフと音楽が一体になって進行していく感じ。「音が気持ちよくなくなったら、そこで終わり」みたいなDJの感覚をすごく大事にしていて、話し手としてラジオやったり、DJやってる人間としては「うわぁ、すごい!」と鳥肌が立ちました。
結さん:その感動のツボが「ラジオパーソナリティーとしての視点」だった、というのがすごく共感できて、「まさにそれ!」と思いました。
吉田アナ:言葉の意味を伝えるためだけのセリフではなく、「音として気持ちよくハマらなければ、それはもう見せるべきものではない」と言わんばかりの、渡辺信一郎監督の“音”に対する徹底したこだわりが、作品全体からビシビシ伝わってきました。アニメの記憶に、音楽という感情がしっかり刻まれたクールでしたね。